信頼されるリーダーになるために

4年ほど前に転職した際に、運用チームへリーダーとして配属しました。 最初からリーダーとして配属される場合、メンバーとの信頼関係をゼロから構築する必要があります。

メンバーからの信頼を得るために自分が取った行動を紹介します。

チームの状況

配属時の状況は以下のとおり

  • 人数は業務委託が5名、社員は自分(リーダー)のみ
  • 前任のリーダーは数ヶ月前に辞めている
  • 業務は問題なく回っている

信頼されるリーダーになるために

配属されてすぐに、業務委託であるメンバーから社員全体へ不信感を持たれていることに気づきました。チームには社員もおらず放置されており、自分たちの作業が軽んじられていると感じていたと予想しています。一方で運用チームの作業はナレッジ化されておらず替えも効かないということもあり、離任リスクを軽減するためにも、まずはメンバーの信頼を勝ち取る必要がありました。

そのためにも理想とするリーダー像を自分なりに描き、そのようなリーダーになるよう努めました。

  • メンバーからリーダーとして頼れる存在である
  • メンバーには厳しく品質を求めるが、外部には自分事として責任を持つ
  • メンバーが成長を感じる環境を提供できている

それぞれについて、詳しく説明していきます

メンバーからリーダーとして頼れる存在である

メンバー目線から考えると「頼れる」というのは

  • 問題があったときに相談できる
  • 自分ができないことも、この人なら解決してくれる

と思ってもらえていることです。

相談してもらうためには、相談しやすい関係を築く必要があります。自分は、雑談も含め日常から多く会話をし、積極的に「自己開示」をしました。「自己開示」をしなければ、相手がこちらの感情を伺いながら話すことになり、相手も本音を話さなくなります。また相手が言っていることを頭から否定しないことも重要なテクニックです。会話の終了時に「この人と会話すると疲れる」とか「この人と会話すると嫌な気分になる」と感じられると、話しかけられにくくなります。間違いを正す場合も「自分ならこう考えます」や「こういう考え方もあります」というように悟らせる方法や、「xxさんを否定したいわけではないですが」と率直に敵意がないことを伝えた上で正す方法もあります。

「この人なら解決してくれる」と思ってもらうためには、代わりに問題をたくさん解決してあげるのが1番ですが、残念ながら自分では解決できないような問題を相談されることも頻繁にあります。しかしここで言う「解決してくれる」は実際に課題が解決せずとも、相談にきたメンバーの不安を取り除いてあげることが重要です。場合によっては結果問題が解決できずとも、その責任を自分が持つだけで解決してくれたと感じてもらえる場合もあります。自分はメンバーから相談を受けたときにはすぐに解決方法を提示する二つ返事で自分が受け持つことを伝えるようにしました。前者ができることが理想ですが、難しい場合は後者を選びます。その際に少しも拒否感を示さないことが重要です。それによって「この人は自分ができないことも難なくこなす人だ」と印象づけることができます。たとえその後その問題が100点の解決につながっていなくとも、一定の信頼を得られていたと考えています。

メンバーには厳しく品質を求めるが、外部には自分事として責任を持つ

メンバーの業務について、ときには上司やチーム外のメンバーから品質を評価される場合もありますが、その際にとても重要な注意があります。それは問題を指摘された場合にリーダーである自分が責任を持つことです。担当者がやったことは伏せ自分に落ち度があると表明し、自分がやったこととして謝罪します。間違っても担当したメンバーを一緒に非難したりしてはいけません。それについて外部のメンバーから見えるところで指摘をすることもNGです。そのようなスタンスを取ることで、メンバーはリーダーが指摘をするためにいるのではなく、協力してタスクをこなしていることを実感します。結果、日々のフィードバックで踏み込んだ指摘をしても受け入れてくれるようになり、品質確保にもつながります。

メンバーが成長を感じる環境を提供できている

これは運用チームという特性上とくにあった問題ですが、日々の業務が単調な繰り返しになり、メンバーが成長を感じられていないという課題がありました。人が仕事を求めるときに「やりがい」や「成長」は欠かせないと自分は考えています。堅く表現すればナレッジの多いメンバーの離任リスクがあったのです。(立場上メンバーは業務委託でしたが)メンバーをタスクをこなしてもらうだけの関係から脱出する必要があると考えました。それぞれのキャリアやなりたい姿をヒアリングし、日々の業務で少しでも関連づけられるものを探しアサインしたり、勉強できる時間を捻出するようにしました。

またやりがいを感じてもらうために、各人の強みを観測し活かせるような施策を始めました。本人にやりがいや存在価値を実感してもらうためです。その施策が直接的に価値が高くなくとも、離任リスクの軽減を優先して時間を割くことも重要な判断だと考えています。

結び

結果論かもしれませんが、上記のように進めることで、メンバーからは信頼を得ることができたと思っています。 また一部のメンバーから信頼を得ると、その信頼は組織に広がっていきます。 スムーズに組織内で関係性が構築できるようになり、情報も自然と集まり、業務のしやすい環境になりました。

信頼できるリーダーというものは人によって異なりますし、本来はメンバーが求めている姿に合わせた方がよかったと思います。このときは自分の理想像で進めてしまったところがあります。しかし、信頼関係を築きたいと考え、そのために身を削って意思表示することで、相手も距離を縮めてくれることは多いと思います。

手段や形はさておき、リーダーは信頼されるために全力を尽くすべきだと思いますし、全力を尽くすだけの価値があるものだと実感した経験でした。

補足

関係者が見たときに誤解なきよう付け足しますが、戦略的にメンバーと信頼関係を構築した表現になっていますが、そうでなくとも自分はメンバーのことを好きでしたし、信頼関係を気づきたいという気持ちがありました。

メンバーは全員業務委託でしたが、社員と同等にキャリアの相談に乗ったり勉強の時間を設けることに、反論がある方もいるかもしれませんが、さらに高い視点を持って事業として離任リスクを軽減することに時間を割くのであれば違和感はないと考えています。

こういった記事を読むと自分もつい思ってしまうことですが「この人はそういった余力がある現場だからできたんだ」と感じてしまう方もいるかもしれません。しかし実際は運用チームのリーダー以外にも多くタスクを持っていました。それでもメンバーに信頼してもらうことは優先度が高いと判断し、時間を捻出していました。たくさんタスクを抱えている中で実施するからこそ、メンバーは自チームに時間を割いてもらっていると感じ、信頼へと繋がったのだと考えています。

はてなブログを始めるにあたって

日々思ったことや感じたことを残すために、はてなブログを始めることにしました。 その理由を残しておきたいと思います。

エンジニアとして働いて9年目、個人として学んできたことは多く、職場で価値を提供できているという自信はあります。 一方で、愚直に目の前の問題と戦ってきた自分の仕事の進め方は型に当てはまるものではなく、ナレッジとして残せるものではないと考えてきました。

しかし世の中には「フレームワークをたくさん知っているのに、現場の課題を解決できない人」が一定数いるということを知りました。

自分は「フレームワークには詳しくないが、拙いながらも課題を解決できる人」だと思っているのですが、その拙いながらも進められる人の考え方を同僚から教えて欲しいと言っていただいた時に、想定外に求められていたことを知ったのです。もしかしたら、その考え方は広く使われる画期的なものではないにしろ、一部の人にとって刺さる新しいフレームワークとなりえるということを理解しました。

文章力を上げるためにブログを始めたという意図もあったのですが、それを非公開の日記ではなく公開のブログを選んだのは、公開することで少しでも誰かの役に立てればと考えたからです。

拙い文章かつ、決してスキルの高いエンジニアではありませんが、心広く拝見いただけると幸いです。